研究施設としてのミュージアム

現在のミュージアムは社会教育の場と考えられています。博物館を訪れた人が、展示や講座などからそれぞれ何かを発見するため、自主的・主体的な学習に役立つとされ、学校教育とは異なる生涯学習の場としての役割が注目されています。

ではかつてのミュージアムはどうだったかと言うと、主に科学や歴史などの学術研究の場であったことがうかがえます。研究には採取した標本や資料が必要になるため、それらを整理して蓄積する施設としてミュージアムが発達してきたと考えられるのです。研究者個人の研究室がミュージアムのようになったでしょうし、大学としてミュージアムを設置することもありました。近代的な学問が発達する初期の段階では、ミュージアムは研究の場として重要な役割を担ったのです。

したがって、ミュージアムはもともと研究のための施設であり、ある意味で学術研究の最先端に位置していました。現代では、先端研究は大学などの研究機関によって行われることが多くなっていて、ミュージアムでは社会教育施設としての役割が重視されるようになっています。