モノは人の認識と深く関わっていると考えられます。
モノや概念は言葉によって表現されますが、その言葉が人の思考の形成と深く関係していることは、心理学者のピアジェなどによって論じられてきました。したがってミュージアムのようなモノの集合体は、言葉と概念の世界につながっていて、その存在は人の知識体系や思考の形成を促していると考えられます。
近代初期の驚異の部屋などで知られているように、分類学の発達前のミュージアムにおいては、世界の文物が所有者の思うままの区分と順序で陳列されていました。そこには所有者の世界観が表われています。ミュージアムは、その展示によって、所有者がどのように世界を認識しているかを物理的に示すとともに、モノによってその認識を促すものであるとみられます。