現代の課題

ミュージアムが教育に役立つことは確かであるとしても、そのことがより説得力を持つには、ミュージアムにおける学習の仕組みや効果がより科学的に証明されなくてはなりません。しかし、その点の掘り下げはまだ十分ではないのが現状です。

まず、ミュージアムは資料としてのモノを中心とした施設ですが、そもそも人とモノの関係については探求がほとんど行われていません。考古学や心理学などでは一部で研究がされていますが、ミュージアム関係者はその方面にまだ目を向けていません。これは、「人はなぜモノを集めるのか」という根本的な疑問にもつながります。

また、ミュージアムの未来の可能性についても、あまり語られていません。ミュージアムはおそらく人間の認識や世界観と関わっていて、かつて大航海時代に西欧で急速に発達した歴史があります。そうであるとすれば、現在のように人間の意識が宇宙に向かおうとしている時代に、ミュージアムが再び脚光を浴びる可能性があると考えるのが自然です。